日本で「一万人の第九」なんて企画があるように、ベートーヴェンの「交響曲第九番」は合唱団も入って大編成でやるものですが、今年の暮れに聴いていた「第九」は究極の小編成によるものでした。たった一人で演奏する第九。リスト編曲によるピアノ独奏版です。
もともと演奏に1時間以上かかる大曲なのに加え、超絶技巧でならしたリストの曲だけあって弾くのは恐ろしく難しそうですが、これは見事な曲ですね。オーケストラで出ている音をきちんと鳴らし、原曲の壮大さをそのまま伝え、しかも「元からこれはピアノ曲として作られたんではないか」とすら思えるほど違和感がありません。ピアノという楽器の表現力の凄さがよく分かります。(もちろん、表現力豊かなピアニストの力あってのものです)
ピアノ版を聴きながら、知らない間に頭の中でオーケストラを鳴らしてしまってることに気づいたりもしますが、ピアノ曲として味わうのがいいんじゃないでしょうか。
リストが活躍した19世紀には録音技術がまだ発明されておらず、音楽とは保存できない、常にライブで体験するものでした(例外があります。オルゴール)。ましてやベートーヴェンの第九のような大編成を必要とする曲は演奏される機会も少なかったでしょうから、こういうのをピアノでサラサラッと弾けちゃうとサロンなんかでは大スター!だったでしょうね(^^)。もっとも何人がこれを弾けたかは知りません。この曲の編曲にはリストも苦労したらしく、なかでも合唱が入る最終楽章は一度は編曲をあきらめたらしいです。
ピアノ版の「第九」を聴きながら暮れ行く年の瀬です。
ベートーヴェン (リスト編曲) : 交響曲第9番 「合唱」
カツァリス(シプリアン) ベートーヴェン リスト
by G-Tools
このカツァリスはショパン弾きとして有名ですが、リスト編曲のベートーヴェン交響曲9曲全部を録音しています(上で紹介しているのと同じシリーズにあります)。







