高畑勲は、宮崎駿と並ぶスタジオジブリのもう一本の柱です。1999年の「となりの山田くん」以降ご無沙汰なのが寂しいですね。
1991年の監督作が長編アニメ映画「おもひでぽろぽろ」。今井美樹と柳葉敏郎を主演声優に据えたこの作品は現代の日本が舞台で、しかも映像はアニメらしくないリアリティを追求したものだったので「これなら二人を主役にして実写で撮った方がいいんじゃないか」と当時は思いましたが、丁寧な描写に支えられた秀作です。
さて本題は映画ではなくサウンドトラック。
現代の物語と子供時代の回想パートが交互に現れるストーリーですが、サントラ盤では「昔パート」「今パート」と分けられた並びになっています。昔パートは昭和40年代のBGM。クレイジーキャッツや「ひょっこりひょうたん島」、ワイルドワンズなどは当時の音源がそのまま使われていて懐かしいのですが、この盤では途中でフェイド・アウトしてしまうのが多くあまりいい感じではありません。
そして現代パート。ここでの主役はなんと「ワールドミュージック」です。男主人公のトシオくん(山形在住)が「田舎の音楽好きなんすよ、俺田舎もんっすから」という東欧音楽好きの設定なのです。
ほとんど面識のない女主人公を車で迎えにいって、カーステで最初にかけるのがマルタ・セベスティェーン。映画を見に行った当時、私は結構そっちの音楽を聴いていたんですが「いきなりそんなの聴かせる奴がいるかよ!」とスクリーンに突っ込みたくなりました。
その後もどんどんこの手の曲が出てきて、映画に対する予備知識のなかった自分はひとり大受け。というわけでサントラまで買ってしまう羽目になりました。こっちの曲たちはフェイドアウトせずきちんと聴けて好感度も高し。
もし今この映画をリメイクするとしたら、トシオくんはきっとファンファーレ・チォカーリア大好き青年という設定になるんでしょうかね。
映画が公開された頃は、ワールドミュージックが一種のブームでした。ブルガリアのポリフォニー(女声合唱)が話題を呼び、アフリカやアジアのミュージシャンがどんどん紹介されていました。造成中の横浜みなとみらいでワールドミュージックの祭典、WOMADが開催されたのもこの年でした。そういう時代の空気が、このアニメ映画にもあらわれています。
映画の中で一番美しい、早朝の紅花摘みの場面にはブルガリアン・ポリフォニーが使われています。画面の日の出とシンクロして見事な効果をあげていますが、残念ながらサントラには未収録。DVD等でご確認を。
サントラ収録の現代パートの曲は、現在では原盤が入手困難なものばかりなのでこのサントラ盤は貴重な存在です。
おもひでぽろぽろ
サントラ 星勝 前川陽子
徳間ジャパンコミュニケーションズ 1997-04-05
by G-Tools
DVDはこれ
おもひでぽろぽろ
今井美樹 柳葉敏郎 高畑勲
by G-Tools
しかし、この映画にはひとつだけ「ちょっとこれはどうか?」と思う曲があります。
それは主題歌の「愛は花・君はその種子」(歌・都はるみ)です。
この曲("THE ROSE"の主題歌ですね)は、都はるみは、悪くない。しかしどうにも歌詞が良くない。原詞を忠実に翻訳しているのですが、あまりに忠実すぎて詞にも詩にもなっていない。情感も何もあったもんじゃない。都はるみもよくこんな歌詞でうたうことにOKを出したなと感心してしまうほどです。
この訳詞を手がけたのは高畑勲監督その人です。もう、いいからあなたは監督だけしてなさいと言いたい。
歌詞はこれ。アーティスト名が違ってますが(よりによってバラクーダ・笑)同じ曲です。
愛は花、君はその種子 (goo音楽)
そしてこちらが原曲 "THE ROSE" の歌詞。直訳っぷりがわかるかと思います。
THE ROSE (goo音楽)





第1回WOMAD、必ず行こうと思いながら行けなくなった苦い思い出があります。
ファンファーレ・チォカーリアにTBしました。
映画館に3度も観に行ったほどです。
WOMAD、あの頃は良かったですね(遠い目?)。初回〜3回目まで関西から通いました。もう印象がごっちゃになってますが。