2008年05月29日

「狼と香辛料」って何ですか?

「狼と香辛料」というアニメが、今年テレビで放映されていたのだそうです。ライトノベルが原作だそうですが、ごめんなさいアニメも原作も知りませんでした。

しかしながら、ある日立ち寄ったCDショップで妙な民族音楽のような古楽のような、不思議な曲が流れていて、それがこのアニメのサントラだったのです。アニメ見たこともないのにサントラを買ってしまいましたが、これがなんと大当たり。

狼と香辛料 original soundtracks 狼と香辛料 original soundtracks
吉野裕司

JVCエンタテインメント 2008-03-12
おすすめ平均

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このジャケットで、レジに持って行くのにちょっと勇気が要りましたがそんなことは気にしない。参加ミュージシャンも鬼怒無月壷井彰久小川紀美代などなどすごい名前がクレジットされてるし、リュートやバンドネオン、ウードなどアコースティック楽器主体のサウンドは大変に心地よい。いったいどうして、こんなメンツが集まってこんな音楽をアニメのために録音したのか、その経緯は私は知りませんが、結果として素晴らしいアルバムになっています。アニメのサントラにしておくには勿体なさすぎます。それほど気に入りました。

ちなみに私の同居人は、私が聴いているところにやってきて、ある曲を「ああこれプーランクね」と一言言い残していきました。かように、元ネタ探しも楽しい。

少しでも多くの人に、気づいてほしいアルバムです。

ところでやはり今に至るまで私は「狼と香辛料」本編を見たことがないのですが、見ておいた方がいいんでしょうか?


(参考)ここでアニメのサントラを取り上げたのは、ほぼ2年ぶりです。その前はこれ「アニメを見ずにサントラだけ買う」…でした。なんだ、前と同じことやっちゃったよ。この時のアルバムは、パール兄弟が音楽を担当した「N・H・Kにようこそ!」のサントラでした。あーこれも結局アニメ一度も見ずじまいだったな。

posted by gyogyo6 at 01:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | よい音楽(松) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月20日

Perfumeで踊れ、すべての子供たちよ

恐らく、今年出る日本のポピュラー音楽でもっとも期待と注目を集めていたアルバムの1枚であろう、 Perfume の『GAME』がリリースされました。(収録曲には既発のものも多いですが)

というわけで聴いてみました。これが「ポピュラー音楽の歴史に残る」ものかどうかはまだまだ評価も定まらないところでしょうが(数年後にもう一度聴き返したいところです)、歴史の歯車をゴリゴリ回す音は聞こえてくる、そんなアルバムだと思います。

私は「リニアモーターガール」の頃に知って興味を持ち…、いや要は気に入って、アルバムとかDVDとかが家に増えてきてますが、やあこんなすごいのを聴かせてもらってありがとう、という気分です。

いやもう、こういう音楽は感受性豊かな子供たちに浴びるように聴いてもらいたいですね。ちょうど自分たちがそうだったように。気に入っていると書いておいてなんですが、これは私のようなオッサンに向けて作られた音楽では、恐らくありません。…私の勤務先のビルのエレベーターホールに、BGMとして「ポリリズム」のインストアレンジ版がこの頃よく流れているのですが、これはなんだかなと思いますね。曲のダイナミズムを9割減させてどうするというか。んでパフュームの後にかかる曲がコブクロだったりして、なんだかな感はますます強くなります。…話がそれました。
「子供たち」といっても中高生、大学生なんかじゃありません。小学生、幼稚園児にこそ浴びるように聴いてほしい。わからなくても快感に身を任せて聴いてほしい、踊ってほしい。

子供時代にPerfumeを体験した子たちが、成長してどんな感性を持つようになるか、一抹の不安とともにとても楽しみであります。「誤配上等!」でひとつお願いします。

…昔話ですが、「オレ、テクノとか聴いたら、アタマ、いとーぉなるけん」と「ライディーン(YMO)」を聴いて小学校の時にこう言っていた友人は、後にあの「テクノデリック」を絶賛するようになりました。さて。

GAMEGAME
Perfume 中田ヤスタカ

徳間ジャパンコミュニケーションズ 2008-04-16
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さてこのアルバム、我らが保母大三郎先生は何と評しているでしょうか。

中田ヤスタカ全曲プロデュースの新作。舌ったらずなロリ声+小学生のブログ以下の絵日記歌詞…ってな典型的ハイブリッド腐れ歌謡にサルトル言うところの『嘔吐』と思いきや、心憎いほど小細工を施した中毒性高いテクノ・ポップに総てのマイナス要素が帳消し。未だに愛読誌が『サウンドール』と『テッチー』(W廃刊)のIMOな宇宙三銃士スターボー世代にもお薦め。[7点]
「ミュージック・マガジン」2008年5月号

なんだ、つまらん。でも、なんか私に「お薦め」されたような気が…。たぶん気のせいだと思います。

posted by gyogyo6 at 23:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | よい音楽(松) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月04日

iTSにふさわしい曲(その3)

「その2」を書いたのは昨年9月ですから半年ぶりなのですが、久々に該当曲が出てきました(出てきてしまいました)。

試聴してみて「これはいい」と思ったのが、world's end girlfriend featuring 湯川潮音の「君をのせて〜ナウシカ・レクイエム」。「クラブミュージックの精鋭たちが集結したスタジオジブリカヴァー作品」という触れ込みのアルバムに収録されてます。速攻で買ってきました。

ただ、この曲以外はいまいち食指が動かなかったのが残念なところ。本名陽子の「カントリーロード」(「耳をすませば」主題歌)12年目の新録音! という、耳を疑うようなのもありましたが。彼女、中学の音楽の授業で教わるような歌い方でしたが、全く変わってませんね。それはそれでスゴイ。

そんなわけで、これはアルバムまるごとじゃなくて1曲だけをiTunes Storeで買えばよかったかなと後から思ったのでありました。アルバムジャケットも、なんだかPhotoshopを使って10分程度で作ったような仕上がりで、どうもそそられません(^^)。

ま、仕方ないですね。

キラキラジブリキラキラジブリ
オムニバス world’s end girlfriend featuring 湯川潮音 デデマウスと本名陽子

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湯川潮音の1曲だけなら、こちらから。→ world‘s end girlfriend featuring 湯川潮音 - キラキラジブリ - 君をのせて~ナウシカ・レクイエム

posted by gyogyo6 at 23:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | よい音楽(松) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月11日

Joe Jackson の日本盤が出なくなって早何年

ジョー・ジャクソンの新譜が日本盤としてリリースされなくなって何年経つのだろう。昔のヒット作「Night and Day」などは売られ続けているし、昨年はA&M時代の9枚組紙ジャケボックスなんてのも出ましたが、新譜となると出る気配がありません。海の向こうでニューアルバムが先月出たんですよ。知ってるかな。その前にJoe Jacksonを知ってるかな。知られてなきゃ日本盤なんて出るわけないですね…。

というわけで新曲のライブ映像など収録されたDVDつきのニュー・アルバム(重量盤アナログでも出ます)は、ピアノ・ベース・ドラムスのトリオ編成でシンプルに聴かせます。これはいい。一時期はほんとに迷走していて(日本盤が出なくなったのも理解できる)どうなっちゃうんだろうと思っていたが、ここ数年は再びやる気が復活してきたみたいで充実した音楽をやってます。試聴はプロモーションサイトから。(あるいは下のiTunes Storeでも)

RainRain
Joe Jackson

Rykodisc 2008-01-29


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なお日本でCDのリリースはないが、iTunes Store(Japan)ではDVDのコンテンツも込みで売られています→ Joe Jackson - Rain (←リンク先要iTunes)。要するに日本でのリリース形態は、いま流行りの「配信のみ」ってやつ。…いや微妙に違いますね。CDショップの棚に並べてもらえそうにないアーティストからこうなっていくんだろうという例でしょうか。にょろーん。

posted by gyogyo6 at 00:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | よい音楽(松) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月29日

「そのものの凄さに驚かされます」

「ベートーヴェンの交響曲」の中で、著者の金聖響は「誰それの演奏が良い悪い」とはほとんど書いていない、ということを前記事(「「ベートーヴェンの交響曲」を読みました」)にも書きました。しかし唯一、名指しで「これはスゴイ」と言っている演奏があります。それが、カルロス・クライバーが指揮した第4番です。

たとえばフルトヴェングラーの指揮したベートーヴェンの『第九』のCDなどが、いまも「フルヴェンの『第九』」などと称えられたり宣伝されたりして、その指揮ぶりや音楽の組み立て方が評価されているのとは異なり、クライバーの場合は、ベートーヴェンの第四番の音楽そのものの凄さに驚かされます。この違いは大きいと思います。

とは、もう最大級の賛辞と言ってよいでしょう。

そんなわけでものは試しと、買ってきましたDVD。1983年のライヴ。アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(現・ロイヤル・コンセルトヘボウ)。

ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 作品92ベートーヴェン:交響曲第4番イ長調変ロ長調 作品60/交響曲第7番イ長調 作品92
クライバー(カルロス) ベートーヴェン ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

ユニバーサル ミュージック クラシック 2004-12-22
おすすめ平均

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いやこれは確かにすごい、と思いました。私が持っていた某指揮者による全集の演奏とはずいぶんと違った曲に聴こえます。指揮者による違いというのはこんなにあるものなのだなあ、と今更ながらに感じました。

「ベートーヴェンの交響曲」で、聖響さんは「指揮者の頭の中では演奏中に『理想の音』が鳴っている。それと、実際にオーケストラが出している音とを聴き比べ、『理想の音』との違いを瞬時に修正していく、それが指揮者(をはじめとする演奏者)の仕事のすべてであり、またそれが一番難しい」と書いています。その意味が、よくわかります。

音だけでもスゴイですが、指揮ぶりもまた凄い。映像として残っていてホントにラッキーだなあと(しかも今は安いし!)思います。なんでも、これの発売当時はクラシック界にセンセーションを巻き起こし、聖響サンが書くようにクライバーだけではなく「第4番」そのものへの評価がガラッと変わってしまったとか。なるほどですね。
第4番だけじゃなく、第7番も素晴らしい(というかこのDVDでは多分こっちがメインじゃないかと)。今から観る人の楽しみを損ねては困るので詳しくは書きませんが、曲の重要な部分で彼は指揮の手を止めてしまうんですよね。「目で指揮してる」のかもしれませんが、この格好よさったらありません。
そして彼の指揮するテンポの速さに必死でついていく楽団員。なんだか大変そうですが、彼らの頑張り(ほんとにそうとしか見えません)が、この演奏を指揮者の『理想の音』に限りなく近づけているのでしょう。

ところで第4番の第1楽章、序奏が終わってテーマが出てきたときに「あーこれは聴いたことがあるぞ!」と昔の記憶が蘇りました。私が中学生だか高校生だかの時にクラシック狂の友人がいまして、彼から毎週のように「これを聴け」とテープを貸されていたことがあったのです。(私は、お返しにロックやら何やらのアルバムを貸してあげてました。互いに「感想文」(笑)を提出し合ったり。ヘンなことやってました)
そんな彼からあるとき渡されたのが「ベートーヴェンの第4番」。「英雄」やら「運命」やらの標題がついた曲くらいしかまともに聴いたことのない私は「第4番? そんなんあったんや、知らんわ」と思ってましたが、それがクライバー指揮のものだったのです。この演奏はクラシック素人の私にとっても妙に面白く、楽しく聴けたのを今になって思い出しました。(もっとも、当時「感想文」を提出したらお互いさっさと忘れてしまっていたのですがね)

貸してもらったのはLP(を録音したテープ)だったから、このコンセルトヘボウ版ではなく当時新譜で出たばかりのバイエルン国立管弦楽団版(これもライブ録音)だったと思いますが、同じような印象でしたね。そのとき「面白いからこの指揮者のをもっと貸せ」と言わなかったのは人生の大いなる損失だったか、それとも深みにはまらずに助かったというべきか。

posted by gyogyo6 at 00:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | よい音楽(松) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月03日

明日「ひばり島珍道中」再放送

このお正月にNHK-FMで「大滝詠一リマスター・スペシャル」というプログラムが放送されています。大滝がNHKでDJをつとめた数々の番組から貴重なものを「当時は編集でカットされた秘蔵音源も交えて、彼ならではの解説を加えて現代に蘇らせる、“番組のリマスタリング”」というものです。音源は大滝氏自身が保管していたものだそう(NHKには残ってないらしい)。

1月4日は、名作中の名作・渾身の美空ひばり特集「ひばり島珍道中」です。「ポップス歌手としての美空ひばり」を、博覧強記の大滝氏が2時間にわたって再構築した画期的なプログラムでした。当時聴いた私の感想は、以前に「ひばりのA列車」という記事にしています。

放送時間は午後2時から午後4時。これはエアチェック(死語)せねば。…と言いたいところですが私はこの日が仕事始めです><。どうしましょう。

…どうしましょうの顛末は次の記事へ…

曲目は以下の通り。(以下、NHKの番組表より)

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2007年12月11日

「今年の一枚」ですが…

毎年この時期になると、「今年を振り返る」といった企画がよくあります。今年はなんというか、心動かされた新譜というのがなかなか決められませんので、代わりに旧譜再発ものを。

日本編

I WISH IT COULD BE CHRISTMAS EVERYDAY(紙ジャケット仕様)I WISH IT COULD BE CHRISTMAS EVERYDAY(紙ジャケット仕様)
鈴木さえ子

ブリッジ 2007-05-28

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1983年リリース、彼女のソロデビューアルバムです。過去の名作を愛でるというより、今こそ聴くべきモノですね。彼女が所属していたバンド「シネマ」も、今年20何年ぶりかのセカンドアルバム(!) "CINEMA RETURNS" が出ました。これには吃驚。

日本以外編

A&MイヤーズA&Mイヤーズ
ジョー・ジャクソン

ユニバーサル インターナショナル 2007-07-25

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「1枚」といいながら9枚組ボックス。なかなか高価なので、うかつに人に薦められるものではないですが。ましてや、こういう渋い人のものを。
でも、9枚すべてが違う方向性で、しかもそれぞれが高いレベルに達しているというのはそうそうあるもんじゃないです。日本語解説も、ちょっと皮肉っぽい自虐気味な記述がそこかしこにあってファン気質が見えるのが面白い。

というわけで、紙ジャケは発売早々に売り切れることも多いですが、これらはどちらもまだアマゾンに在庫があるようです。作りすぎたのかないつでも買えるのはうれしいことです。

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2007年11月12日

これは有り難い(CD+DVD)

R.E.M. のライブ盤が出ています。内容はと言えば、まともな音楽を聴きたい人はとりあえずこれ聴いとけ、で済んでしまうほどのものです。いやほんと、聴いとけ。

内容もさることながら。これはCD2枚+DVDという構成です。で、CDもDVDも同内容です。宣伝などでは「キャリア14枚目にして初のライヴ・アルバム」などと書かれているのでCDがメインなのかも知れません(過去にライヴ映像作品はいくつか出ていますので)が、どちらが主でどちらが従というものでもないでしょう。いつも行く店では、DVDの棚に置いてありました。

DVDだけ単独で出しても良さそうなものですが、同内容のCDが一緒についてくるというのは結構ありがたいものです。PCやiPodに音を取り込んだりする作業が格段に楽になるのですね。

優れた映像作品は、その音だけでもiPodとかに落としていつでも聴けるようにしたいもの。でも元の素材がDVDだと、音だけ抜き出してという作業は、できなくはないですが結構手間がかかったりします。そんなときに同内容のCDがあるとたいへん便利じゃないですか。まあこの作品がそういう便宜のためにこんな構成になってるかどうかは知りませんが。

最近のアナログ盤の中には、「その曲のMP3ファイルをダウンロードできるURLとパスワード」がついてくるのもあるそうです。そーいえばアマゾンもアナログ盤の取扱いをはじめましたね。

R.E.M.ライヴ(DVD付)R.E.M.ライヴ(DVD付)
R.E.M.

WARNER MUSIC JAPAN(WP)(M) 2007-11-07

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2007年10月22日

アナログで聴いたデジタルポップ(PSY・S再発)

PSY・S(サイズ、と読みます)は、80年代後半から90年代前半に活動したユニットです。 "Making High Quality Music by High Technology" がキャッチフレーズだった彼らの音楽を一言で表すと、「デジタルポップ」。いや、「ザ☆デジタルポップ」て感じですね。ボーカルの安則眞美(チャカ)とその他全部担当の松浦雅也の二人組でした。当時まだそんな言葉はなかったですが、J-POPの先駆といっても良い音楽です。代表作はアルバム「NON-FICTION」(1990)。シングル・カットされた「Angel night 〜天使のいる場所」はアニメの主題歌に使われたりもしましたから、憶えている方も多いんじゃないでしょうか。

その彼らの「NON-FICTION」まで初期のアルバム5枚が、紙ジャケとなって今月再発されます。これを大変楽しみにしています。なぜかというと、その初期のデジタルな音をデジタルな音源で聞くのが、実ははじめてだからです。

当時のデジタル・シンセの象徴、フェアライト! フェアライトC・M・I! といった機器をふんだんに使ったきらびやかなサウンドを、「高音が強調されすぎて歌詞の「サ行」の音がかすれる感じ」(土曜倶楽部とPSY・Sと1990年)と表現する方もいらっしゃいます。なるほど。
今回発売される5枚のうち、最初の3枚までは、私はアナログ(LP)で聴いていました。世間のCD普及具合とは関係なく、まだ私は「買うならLP」だった時代です。「サ行がかすれる」ようなサウンドはLPでももちろんキラキラしていて、スピーカーから出る音もそうですがレコード針がチリチリチリチリ鳴ってて楽しかったですね。
CDではもちろんそんなチリチリ音は出ないですが、あのきらびやかな音がどうなっている(いた)のか。個人的にとても楽しみです。

しかし、PSY・Sって、いつの間にやらデビューから20年以上が経っているんですよね…。しみじみ。

この中ではセカンドアルバムの「PIC-NIC」がいいですね。松浦のサウンド、チャカのボーカルに、サエキけんぞう(佐伯健三)の書く歌詞が絶妙に絡む。奇跡の出会いと言っていいでしょう。

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2007年08月17日

音を分解する/積み重ねる (Born to Run)

テレビのスキマ:阿久悠をも唸らせた半田健人の歌謡曲鑑賞術(阿久悠追悼に変えて)

ここで語られている阿久悠(合掌)の歌謡曲論も非常に面白いのですけど、半田健人さんの聴き方ってやつがいいですよね。この方存じ上げなかったのですが(すみません)、なかなか良いマニアっぷりです。いや、マニアとまでいかずともある程度音楽好きならこういう耳で曲を聞いたりしますよね。

そういえば90年代の初頭くらいだったか「マルチメディアCD-ROM」という代物が流行したときに、マルチトラックのミックス作業を疑似体験させてくれるものがよくありました。今でもあるんでしょうか? あとシーケンサー(私はEZ Vision 1.0 使っていた。どんだけ昔の話!)で、各トラックのボリュームを上げ下げして色々遊んだりとかしていました。

曲を分解してパート毎に聴くのとは逆のアプローチになりますが、音を重ねていく過程というのも面白いものです。歌謡曲のオーケストレーションとバンドサウンドでは若干違いますが、たとえばこんな。


2年前に出た、ブルース・スプリングスティーン「明日なき暴走 (Born To Run) 30周年記念盤」には、2枚のDVDがついていた。1枚は'75年のロンドンはハマースミス・オデオンでのライブ。この1枚は衝撃的だった(後に単独でCDとしてリリースされた)けれども、もう1枚の「明日なき暴走メイキング」とも言うべきドキュメント "Wings For Wheels" がこれまた素晴らしい。その中にレコーディングの一場面が収録されている。

勢いだけで突っ走っているような曲「明日なき暴走」が、いかに音を重ねて重ねて計算し尽くされて録音されていたのかを、当時(30年前)のマルチトラックの録音テープを再生しながら本人や関係者が証言していく。この過程が実にスリリング。ボス曰く「ボブ・ディランのように詩を書き、デュアン・エディのようにギターを弾き、ロイ・オービソンのように歌い、フィル・スペクターのようなサウンドを作りたかった」だったっけ。この発言の意味がよく分かる。

サビの部分(こういう曲でもサビって言うんでしょうか)で鳴っているのは、ベース、ドラムス、ギター、ピアノ。の他には? もちろんそれだけではない、ここにはそれに加えてギター(アコースティック&エレキギター)、グロッケンシュピール(鉄琴)、それにフェンダーローズ、シンセ、タンバリン、ストリングスの音がある。アコギの音はコンプレッサーをかけて4回は重ね録りしてる、エレキは同じフレーズを3〜4人で弾いてこれまた重ねているそうな。ちなみにマルチ・トラック・レコーディングは当時の「最新技術」だったらしい。この曲1曲を完成させるのに6ヶ月もかかったとのことです。まさしくこれはフィル・スペクター言うところの「ウォール・オブ・サウンド」なのである。

(そうやって録音されたものを、最終的に「勢いだけで突っ走っている」かのような音にミックスしている。この手腕がまた見事ではないか)

しかし完璧主義者のボスは、マスタリングされた完成版を聴いて「こんなのじゃダメだ」と盤をプールに放り込んでしまい、これ以上スケジュールを延ばせないジョン・ランダウ(プロデューサー)が「今考えていることは次の作品に生かせばいい」と必死に説得するのであった(^^)。

「30周年盤」は輸入盤の方が安いときもあるが、このドキュメントDVDはぜひ日本語字幕付きで見たい。(残念ながら米国盤には日本語字幕がついていない…)2年前にリリースされた「完全限定盤」がまだ新品で入手できるのはありがたいことです。

B000BOKJLA明日なき暴走 -30th Anniversary Edition
ブルース・スプリングスティーン
Sony Music Direct 2005-12-21

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2007年08月01日

Big World (Joe Jackson) 極限の緊張感

ジョー・ジャクソン1986年の作品、1曲目「ワイルド・ウエスト」からただならぬ緊張感が迫ってくるアルバム。ギターのみのイントロ、そしてそのまま最初はギター(とベース)をバックにうたわれます。1コーラス目が終わって、ドラムがそろそろと入ってきてやがて爆発。

この「緊張感」には理由があるのですが、そんなことを知らなくても張りつめた空気がビンビンと伝わってきます。全15曲60分、全く息の抜きどころなく駆け抜けるので聴き通すのも大変だが、たいへんな充実感があります。ちなみにこの60分という時間はLPレコードに収録するにはちょっと中途半端。そのためこのアルバムは、LP2枚組ながら2枚目の裏面は使用しないという不思議な形でリリースされました(CD版は普通に1枚です)。2枚目の裏はツルツルで、プレスミスと誤解されないようにレーベルには "There is no music on this side." (←うろおぼえ) という文字が印刷されていました。

さてこの緊張感の源ですが、理由はこのアルバムの録音にあります。これはオリジナルアルバムでありながらライブ録音の手法が取られているのです。ホールに客を入れ、しかし客には「演奏中は騒がない」「曲が終わっても拍手しない」と厳命。マルチトラックではなくその場でミックスして2トラックレコーダーに録音。それゆえオーバーダビングなし、曲の途中でミスをしたらそこで演奏を中断してもう一度最初からやり直し…という、さながら修験僧のような難行を自らに課していたわけです。何が彼をそうさせたんでしょうか。

当時のレポートでも、 ある曲でイントロのギターのフレーズが難しく、何度もミスをしてそのたびにやり直しとなり、なんだかいたたまれない気持ちになった などというのがありました。見守っていた客も大変だ。

前々作「ナイト・アンド・デイ」(1982)が高い評価とセールスを記録し、一躍ヒットメーカーになった彼だが、このアルバムに至ってポピュラー音楽としては臨界に近い地点にまで上り詰めてしまいました。彼の次作「ウィル・パワー」(1987)は、全編オーケストラ演奏によるインスト作であり、ファンを大いに戸惑わせることになります。

とはいえそれは先の話。緊張感、臨場感に満ちた演奏は他ではちょっと聴けやしない。メロディメーカーの才も切れまくってます。「Big World」を27カ国語で記したジャケット、6カ国語で記されたライナーノートと歌詞も話題でした(日本語訳が少し違和感ありますが…)。

B000J23574ビッグ・ワールド
ジョー・ジャクソン
ユニバーサルインターナショナル 2006-12-20

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例のジョー・ジャクソン9枚組紙ジャケボックスを結局買ったので、その中から印象に残る盤をご紹介。

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2007年07月02日

(ボーナス狙い?)ボックスセット

以前もここでとりあげたことがありますが、80年代に活躍したジョー・ジャクソンという人がいます。

ニュー・ウェーブの流れで登場したかと思えば突然1920年代に流行したジャンプ・ミュージックのカバーアルバムを出す。その次は米国に渡って(彼はイギリス出身です)サルサやラテンの要素を詰め込んだアルバムを発表して大ヒット、一躍ポップスターの仲間入り、かと思いきやクラシックぽいインスト作などを出してみる。あるいはライブ・レコーディング一発録りでアルバムを仕上げる(スタジオには聴衆を入れ、しかしながら彼らには「曲中は静かに、曲が終わっても拍手をするな」と厳命して緊張感を要求)など、本当にアルバムごとにスタイルが変わってしまうといっても過言ではありません。「カメレオン・ジョー」などと呼ばれることもあります。
もちろん今も現役で活躍中ですが、このたびA&Mレーベル所属時代の9枚のオリジナルアルバムが紙ジャケット化されます。これがばら売りなしの「9枚組ボックス」という仕様。なんとも悩ましい。

B000QUCY44A&Mイヤーズ
ジョー・ジャクソン
ユニバーサルインターナショナル 2007-07-25

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先にも書いたように、アルバムごとに全く違う表情を見せる人なので、「9枚まとめて!」揃える意味を探すのに苦労するところです。掲示板にて「私が欲しいのは "Night and Day" と "Body and Soul" の2枚だけなんだけど」「そういう人が多いから9枚組ボックスにするんですよ」というやりとりがあってちょっと笑ってしまいました。レコード会社も強気なのか弱気なのか、よくわかりません。

当然お値段も張るんですが、この季節は「ボーナス」というものが支給されてちょっと気も大きくなっているところ。このセットを求める人が日本中に何人いるのか分かりませんが、私もその中の一人に入ろうかどうしようか、発売日直前まで悩むことでしょう。

そんなまとめてはいらないという初体験の方には、最近ベスト盤が18曲入り1,000円という廉価で先月発売になっています。同じものを1,500円で売る iTunes Store Joe Jackson - The Universal Masters Collection: Classic Joe Jackson よりも安い。どんなにスタイルが変わろうとも変わらないのは「傑出したメロディメーカー」であること。それを十分楽しめる、まずはこちらからどうぞ。なお解説、歌詞カード、歌詞和訳などはついてないそうです(廉価盤ゆえに)。

THE BEST 1000 ジョー・ジャクソンTHE BEST 1000 ジョー・ジャクソン
ジョー・ジャクソン

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これも含めて、ユニバーサルレコードは先月1,000円のベスト盤を50タイトルも放出しています(参考)。大バーゲンセールの観であります。

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2007年05月02日

「音楽の衝撃」を体験したかった - 映画『神童』

その音を聴いて雷に打たれたような衝撃を感じる。音楽で、そういう瞬間は実際にある。もちろん人によってその体験は違う。オーケストラが音を出した瞬間、あるいはライブハウスでもみくちゃになってジャンプしている瞬間、道に立ってギターを弾いている兄ちゃんの歌を耳にした瞬間、DJがディスクを見事に繋いだ瞬間、曲中ピアニシモが連続する瞬間。そして人は一度その電気を体験すると、もう一度、もう一度と音楽にその衝撃を求めるのである。しかし簡単に味わえるものではない。

音楽を題材にした優れた作品 小説、詩、映画、まんがなどは、なかなか訪れないこの「衝撃」の瞬間をいかにして再現するか、追体験できるかがキモである。本物の音がなくても、そこは演出や描写で補って、時には本物以上の衝撃をもたらしてくれることもある。少なくとも私がこういった作品に触れるときは、その瞬間をいかにして見せてくれるか、感じさせてくれるかを期待しているのだ。

さて、それで映画「神童」です。原作(まんが)を読んでいたく感銘を受けた私は、早速に観に行きました。もちろん、音楽の衝撃を期待して、です。

(以下、この映画とコミック版の内容に触れる場合があります。露骨なネタバレはないですが、未見の方はご注意)

そうそう、私が見た映画館では来週で上映終了みたい(「プルコギ」に押し出されるようです)なので未見の方はお早めに。

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2007年03月02日

「神童」映画のほうの演奏曲 (iMixつき)

前の記事では「神童」コミック版についてでしたが、こっちは映画の話。とはいっても公開前で、私もまだ観ていません。

この映画で松山ケンイチ演じる和音(ワオ)のピアノを吹き替えるのは清塚信也。この人は、昨年ドラマ化された「のだめカンタービレ」では千秋のピアノも吹き替えていました。それってどうなの? と思ってしまいますが、時期的にはこの「神童」の収録の方が「のだめ」より先のはずです。(撮影等は昨年の春に行われています)講師役で出演もしているそうですが、果たして演技力はどうでしょうか(^^)。

また、成海璃子演じるうたのピアノは和久井冬麦という12歳(!)のピアニストが吹き替えています。現在ウィーン留学中だって。いろんな人がいるところにはいるもんですね。(冬麦さんの公式ページ

映画音楽担当はハトリミホ(羽鳥美保。exチボ・マット、ゴリラズ)、主題歌(?)はミト w/原田郁子(クラムボン)。さてクラシックがテーマの映画でこの音楽がどういう効果をもたらすのだろうと、ちょっと興味深いです。

「神童」映画版で演奏される曲は以下のよう(予告編より)です。(順不同)

  • ベートーヴェン ピアノソナタ第23番ヘ短調Op.57「熱情」
  • メンデルスゾーン 無言歌 Op.62-6 「春のうた」
  • ショパン 12のエチュード Op.10-4
  • ショパン 12のエチュード Op.25-11「木枯らし」
  • シューベルト 即興曲 Op.142-2 D935
  • モーツァルト 歌曲「春へのあこがれ」K.596
  • モーツァルト ピアノソナタイ短調 K.310
  • モーツァルト ピアノ協奏曲第20番 K.466

こちらもiTunesで リストを作ってみました。
「神童」演奏曲リスト icon (リンク先・要iTunes)

ひとつ前の記事と比べてもらえれば、傾向の違いがわかります。ストーリーの冒頭、うたが和音の前ではじめてピアノを弾いてみせて天才ぶりを見せつける場面、原作のまんがではドビュッシーの「金色の魚」ですが、映画ではこれがメンデルスゾーンの「春の歌」に置き換わっています。春の歌、といってもピンとこない方もいるかと思いますが、とても有名なメロディを持つ曲です。「黒豆ココアー」と氷川きよしもうたっていたような(^^)。ドビュッシーの方は…、まあ、ピアノの好きな方ならご存知でしょう。大変美しい曲です。Wikipediaでは「ピアノの難曲」扱いされています。

まあ、こんなことを書き連ねていても仕方ありません。観に行かねば!

映画のサウンドトラックも出るようです。

「神童」オリジナル・サウンドトラック「神童」オリジナル・サウンドトラック
サントラ

by G-Tools

追記:観てきました

感想はこちらに書きました

posted by gyogyo6 at 23:56 | Comment(0) | TrackBack(2) | よい音楽(松) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月26日

「神童」コミック版・演奏曲リスト(iMixつき)

この春に公開される映画「神童」。これはさそうあきら作のコミックが原作です。原作が傑作なだけに、成海璃子・松山ケンイチ主演で描かれるこの映画版がどのような出来になっているのか、期待と不安を持っています。

その映画の「神童」と原作であるコミック版の「神童」とではだいぶストーリーが違います。そのため、劇中で演奏される曲目もずいぶんと違います。映画で演奏される音楽は(予告編を見る限り)さすがに有名曲中心のようですが、コミック版はそうではありません。

まんがではもちろん音を描き込んでいるわけではありませんし(でもその代わりに音楽が「見えます」よこれは)、具体的に「ここではこの曲を弾いたよ/この場面で流れているのはこの曲」と明確に分かる描写もあまりありません。作者のさそうあきらは、単行本(文庫版だけか?)巻末に「BGMリスト」を追加し、弾いている/あるいはその場で流れている曲を明らかにしています。

これを見ると、古くはバッハの「パルティータ」がありますが、ショパンからドビュッシー、リストと来てメシアン(鳥のカタログ)、プロコフィエフ(戦争ソナタ)、バルトーク、プーランクなど20世紀の作曲家の作品までかなりバラエティに富んでいます。特に現代に近い方の曲は現代ピアノの響きを存分に生かした曲ばかりで(弾くのも大変な難曲が多いですが)、作者の趣味の広さを窺い知ることができます。

iTunes Store に全曲ありましたので、プレイリスト (iMix) を作ってみました。巨匠からNAXOS御用達なアーチストまで、最近のデジタル録音からノイズ混じりの「歴史的録音」までさまざまですが、あの場面ではこの曲が、というご参考までに。41トラック、全部聴くと4時間以上あります。複数のトラック(楽章)に分かれている曲は、「たぶん劇中ではここを弾いてるだろう」という一部だけのリストアップになりますがご了承下さい。一部を除きすべてピアノ曲。

「神童」コミック版 演奏曲リスト icon (iMix, リンク先要iTunes)

曲目リストはこちら。曲目書くだけで一部ネタバレになるのではないかという不安もありますが、このリストを見ただけでストーリーの想像がつく人はこのまんがの登場人物並みに音楽の才能があると思われます。ぜひ読んでみて下さい。

  1. ドビュッシー 映像第2集より「金色の魚」(1)
  2. メシアン 鳥のカタログよりヒメコウテンシ(2)
  3. シューベルト さすらい人幻想曲ハ長調 D.760(4)
  4. ショパン 前奏曲嬰ハ短調 Op.45(5)
  5. ショスタコーヴィチ 24の前奏曲とフーガ Op.87より第7番イ長調(7)
  6. ショパン 24の前奏曲 Op.28より第24曲ニ短調(13)
  7. ラヴェル 水の戯れ(14)
  8. モシュコフスキ 火花 Op.36-6(15)
  9. ラヴェル 亡き王女のためのパヴァーヌ(16)
    (以下長くなるので一旦畳みます)
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