2006年01月29日

パクリには不寛容になったということか

別冊宝島の『「パクリ・盗作」スキャンダル読本』を読む。筆者陣のはてなダイアラー率がえらく高いのは何かの偶然でしょうか。目次は、編集協力の栗原氏が自身のブログにアップしたものがありますのでご参照。竹内氏の論考「パクリで進化してきたJポップ オレンジレンジこそJポップの集大成である!!」が面白かったです。ネットのそこここに転がる「パクリ疑惑糾弾」を吹っ飛ばしてみせてます。

現代は「パクリ」に対してえらく不寛容になってしまったのかなというのが感想。
たとえば、栗原氏が「『ドロボー歌謡曲(1987)』でパクリ度満点と評されていた」と紹介しているリフラフの「東京涙倶楽部」ですけど、私はこの曲、NHK-FMで知ったんですよね。渋谷陽一がDJを務めていた「サウンド・ストリート」。80年代だったと記憶していますが、その番組で「似た曲特集」みたいな企画があり、この曲は番組のラストに「真打ち」として、元ネタとされるワム!の「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ(Wake Me Up Before You Go-Go)」と続けてプレイされた。渋谷は「これはすごいです、もうそのまんま」と笑うだけ。当時最も有名な評論家の一人であった渋谷にして「あーははは」。それで話は済んでたのです。
今だと、2chあたりで囂々たる非難が巻き起こるのかも。つまらん時代です。

あの番組でいちばん驚いたというか笑ったのは、ピンク・フロイドの「エコーズ」と山口百恵の「マホガニー・モーニング」の組み合わせでした。「エコーズ」は23分以上ある典型的なプログレの大曲で、静謐なイントロが2分近く続くのですが、「マホガニー…」も負けておらずエコーズそっくりのイントロが長い長い。さすがに23分もありませんが。こんな無茶な曲でも平気でうたってしまう山口百恵(当時21歳)の凄さに感心したものです。

あと「エコーズ」に何度も登場するギターのフレーズがミュージカル「オペラ座の怪人」のテーマとそっくりだったりしますが、これはどっちも「半音階で下がったり上がったり」というよくあるパターンだからあんまり関連はない…のかな。まあいいや(ちなみに「オペラ座」初演は「エコーズ」を収録したアルバム『おせっかい』発表の15年後)。…というかどっちの曲もドビュッシーが共通の元ネタかな?

それはそうと、大変面白い本だったです。「別冊宝島」なんて買ったの久しぶりでしたが。

過去の関連エントリ:
「似た曲探し」は楽しい
あの曲の元曲…ですか?

次エントリ「絶滅危惧種(パロジャケ)」もご一緒に。

posted by gyogyo6 at 01:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽の周辺 | 更新情報をチェックする
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