さて2週間前にも書きましたが。
買ってまいりました、ブルース・スプリングスティーンの "Live/1975-85"。
紙製のボックスにはなぜか "5 LPs" なんて書いてありますがもちろん中身はCDです。
カラーのブックレットは印刷がより鮮明になっていますね。
大きく変わっているのは3枚組が5枚組になったこと、LPのような中袋がついたこと。
それから、日本語ブックレットの内容が大きく差し替わっています。
ライナーノートですが、旧盤は佐伯明によるパトス溢れ(てとっちらかってい)るBiography、それまで発売されたアルバムのDiscography、それからデビュー以来のコンサート記録Historyからなっていました。(これらはオリジナルのLP盤と同一でした)要するにリリース時(1986年)までのスプリングスティーンの歩みをまとめたもの。
新盤は、Discographyは最終ページに1ページ、Historyは残念ながら85年の日本公演部分を残してばっさり削られ、解説は長谷川博一、三浦久両氏によるものに替わっています。20年が経過しており、「歩みの紹介」という意義が薄れたのでしょう。
うれしいのは歌詞の和訳が見直され、より自然な、その場に合った訳になっていること。
例として「成長するってことは」の中盤、ショーを観に来た家族についての語り、最後の部分を比較しましょう。
旧訳
でも、とにかくオヤジはいつもいってた。「オマエは弁護士にならなくちゃいかん。何か自分のためになることをしなきゃダメだ。」
で、お袋の方はこういってた。「あら、あの子は作家になるべきよ。本を書けばいいのよ。作家はいい生活を送れるし、自分のためになるわ」ってね。
でもオヤジもお袋もオレがすべてを欲しがってる人間だってことをわかってなかったのさ。
だから、オレに弁護士になってほしかったオヤジも、作家になってほしかったお袋も、今夜はいっしょにロック&ロールしてくれよな!
新訳
とにかく親父はいつも「おまえは弁護士になるべきだ。安定した生活ができるぞ」って言っていた。
でもお袋は「とんでもない、あの子は作家になるべきだわ。本を書くべきだわ。作家の人生はいい人生よ。いい生活ができるわよ」って言っていた。でも二人には理解できなかったんだ。ぼくが全てを持つことを望んでいたことが。
ぼくは、弁護士にも作家にもならなかった。結局、二人の期待に応えられなかったわけだけど、お二人とも、いいですか、今夜はとにかくロックンロールで我慢してね。
まあこんな感じです。結局スプリングスティーンは作家というか、詩人にはなったわけだけれども。そうそう、 amusement parkが「楽しみの駐車場」になっていた珍訳もちゃんと直っていますよ。
ちょっと光が入ってしまった。上の一列が旧盤のもの、下が新盤。持っていたくなる紙箱版です。